- 就活でどれくらいのTOEICスコアが必要?
- TOEICの勉強だけしてても英語は話せるようにならない?
- TOEICって結局のところ勉強する意味あるの?
こんな疑問を持つ人におすすめの記事です。
まず簡単に自己紹介をすると、僕はTOEICスコアが昇進や海外赴任の基準となる上場企業で働いていた経験があります。
そのため、就活目的でTOEICを受験したり、実際に仕事で英語を使ってきた経緯があり、肌感覚としてどれだけTOEICが役に立つか感じてきました。
そんなわけで、今回はTOEICの必要性について論じていきたいと思います。
- 一般的な企業から英語力があると見なされるのは700点ぐらいから
- TOEICの勉強だけしても英語は話せるようにならない(とはいえ、勉強する意味がないわけではない)
ぜひ、参考にしてみてください。
そもそもTOEICって世界的な英語試験?
まず、企業がTOEICスコアを評価の基準に積極的に採用する背景には、TOEICの始まりにあります。
TOEIC試験を運営するIIBCの公式サイトによると、TOEIC試験はもともと日本人のために開発されたそうです。
1970年代、円が変動相場制に移行し、日本経済が世界経済という枠に組み込まれました。それを契機に、製造業を中心として日本企業の海外進出が急速に進んでいったのです。そこには、コストや効率という経営的側面に加えて、先進国との間に生じた貿易摩擦を緩和する目的もありました。つまり、人と人、国と国との理解を深めていかなければ、日本は将来立ち行かなくなるという危機意識です。そのためには、もっと多くの日本人が英語によるコミュニケーション能力を磨く必要がある。そのための実効性のあるプログラムを開発しよう。そのような発想を元に日本人の手によってTOEIC L&Rの開発プロジェクトが動き出したのです。
https://www.iibc-global.org/toeic/toeic_program/philosophy.html
TOEICは世界的な英語試験ではない
TOEICは日本で誕生した試験で、日本人向けに作られているため、元々世界向けではないのです。
そのため、日本で英語力を判断するのにTOEICスコアが用いられることが多いです。
そして、TOEICを受験している人の多くは、日本人と韓国人。
年間の受験者を見ると、全世界700万の受験者のうちなんと240万人が日本人です。韓国人は200万人。
なんと日本と韓国で全世界のTOEIC受験者の6割を占めています。
最近では、韓国でTOEIC離れが進んでおり、TOEICを積極的に受けているのは実質日本人だけになりつつあります。
つまり、TOEICのスコアは英語力の世界基準とは言い難いということです。
あくまで、TOEICスコアは日本国内の企業から評価されるが、世界的には「TOEICって何?」みたいな状態。
それもそのはず、TOEIC試験(L&R TEST)は、「聞く」と「読む」ことにしかフォーカスされていないからです。
最近はスピーキング版もありますが、未だにリスニングとリーディングだけのTOEIC L&R TESTで評価されることの方が圧倒的に多くなっています。
一方、留学や海外企業への就職を考えている人は、TOEICではなくTOEFLやIELTSのスコアで評価されるのが世界的なスタンダードです。
TOEICは日本国内での就活や昇進で必要
まず、多くの人がTOEICを受験する目的に就活や昇進があげられると思います。
実際に約5割の日本企業では、TOEICスコアを採用の参考にしているので、企業が求めるTOEICのスコアを取得しておきたいという人は多いでしょう。
企業が求めるTOEICスコア
TOEICスコアは、英語の能力を数値で定量的に判断することができます。
企業はおおよそ次のような基準でTOEICスコアを評価します。
- TOEIC600点以上
履歴書に書いて多少のアピールになるレベル。英語力があるというよりは、ある程度の努力ができる人という判断材料としても見られることが多いです。 - TOEIC700点以上
一般的な企業で英語力があると判断されるレベル。ただ実務で英語を使うには少し足りないと言われています。 - TOEIC800点以上
外資系や実務で英語を使う企業の採用基準となるレベル。このレベルになってくると、スピーキングテストがあるTOEFLを採用の基準にする企業も多くなってきます。
しかし、ここで注意して欲しいのは、実際英語をあまり必要としない企業でも、TOEICスコアを参考に評価している点です。
つまり、TOEICスコアは、英語力の基準というよりも努力値に近いものなっているということです。
普通に考えて、英語力を見るにはスピーキングやライティング力も評価に含める必要がありそうですが、TOEICにその要素がありません。
なぜこのようなことになっているかと言うと、企業の一般的な面接官は、TOEIC以外の試験を受けた経験がないからです。
自分が受けたことのないTOEIC以外の試験の評価は参考にしづらいのです。
就活・昇進だけが目的だと意味ない
「就活で〜点以上必要だから、とりあえずTOEICの勉強頑張ろう」
こう言った人は多いと思います。
就活のためにTOEICのスコアが必要なのは分かりますが、それは本当に自分にとって必要でしょうか?
この記事で一番伝えたいところはここです。
今後、英語を使った仕事をバリバリやったり、プライベートでも海外旅行に行って英語をガンガン使っていきたいという、就活の延長線上に目標があれば、TOEICは必要といえます。
しかし、就活で採用されるところがTOEICのゴールで終わってしまうとほとんど勉強時間は無駄のような気がします。
勉強するモチベーションも維持しづらいですし、英語という言語を勉強しているはずなのに、いっこうに話せるようにならないからです。
TOEIC高得点者でも英語が話せない人はけっこう多かったりします。
TOEICの勉強だけしても英語は話せない
TOEICは「聞く」「読む」の技能しか測っていません。したがって当然ですが、TOEICの勉強だけしても話せるようにはなりません。
試験のテクニックやコツを押さえることによって点数が伸びる仕組みになっていると言うのもその理由としてあげられると思います。
TOEICの勉強だけで困った話【体験談】
僕は、技術者として世界中に支店を持つ上場企業で働いていました。
会社に入った当初は、英語の勉強というとTOEICの勉強くらいしかしてきませんでした。
しかし、次のような仕事を全て英語で任されることになり、英語に対する意識が変わっていったのです。
- 設計書の作成
- クライアントとのメールのやり取り
- クライアントとの商談
僕が所属していた会社でもTOEICが英語力の基準になっていたので、当時TOEIC750点だった僕はこのような仕事を任されました。
最初の頃は、かなり苦労しました。特にメールや会議は、これまで英語を書くことも話すこともあまりしてこなかったので、まったく仕事になりません。
しかし、実践的にアウトプットする機会が増えたことで、英語は単なる知識ではなく、道具に変わっていったのです。
そして、TOEICの勉強だけではなく、アウトプットする機会がないと英語は使えるようにならないと、この時初めて実感しました。
TOEICは英語力の下地になる
ここまで、TOEICは役にたたないように書いてきましたが、それでもむしろやる意味はあるという話をしていきます。
TOEICはインプットの手段の一つ
TOEICの勉強だけしていても英語は話せるようにならないのは現実です。
「TOEICは意味ない論」を唱える人は多いです
しかし、TOEICにはやる意味がちゃんとあります。
TOEICを勉強することで語彙力や文法知識を十分にインプットできるので、英語を話せるポテンシャルが上がるのです。
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つまり、ある程度TOEICの勉強をしていれば、あと少し足りないピースを補ってあげればすぐに話せるようになるということです。
英語が話せるようになることが目的なら、TOEICスコア600点ぐらいでもアウトプットの機会を増やすことによって英語は話せるようになると思います。
英語が話せないのは、インプットが過多になってアウトプットが極端に不足しているからです。
アウトプットは「知っている英語」を「使える英語」まで落とし込む作業です。
アウトプットする場を作ればすぐ話せる
オンライン英会話などで、アウトプットする場を作っていけば、ある程度TOEICスコアを持っている人なら、3ヶ月ほどで「英語が話せる」というレベルになります。
僕もオンライン英会話でアウトプットする場を増やしたことによってスピーキング能力は大幅に伸びたように感じました。
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とはいえ、ある程度の文法知識や語彙力はないといくらオンライン英会話をしてもスピーキング力はあまり伸びません。
最初は、テンションや勢いで乗り切れる人もいるかもしれませんが、やはり多くの単語(語彙力)を繋ぐ力(文法知識)がないとそれ以上の伸びはありません。
したがって、語彙力や文法知識を得る機会としてTOEICの勉強には意味があると言えるのです。
まとめ
「TOEICは必要か?」「意味があるのか?」という話をここまでしてきました。
まとめると、結局は人それぞれの目的によって変わってきますが、「英語を使うこと」が最終的な目的にない人とっては、あまり意味がないです。
そして、あくまでTOEICは、英語が使えるようになるための手段の一つと考えることが重要です。
したがって、英語が話せるようになるのであれば、人によってはTOEICにこだわらず、別の方法を選択しても良いと思います。
手段にこだわりすぎず、最終的な目標に向かって進んでいきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。